鉄道時計の堅実なイメージ、ベンチュラの突飛なデザイン、パルサーの先進性、と多様な顔を持つウオッチ・メーカー「ハミルトン」のご紹介です。
●アメリカ発の時計会社
ハミルトンは1892年にアメリカ、ペンシルバニア州ランカスターに誕生。前身であるキーストン・スタンダード・ウオッチ・カンパニーが1890年に倒産、その資産を元に設立されました。同年にオーロラ・ウオッチ・カンパニーを買収し、1893年には懐中時計の生産をスタートします。
●鉄道時計
鉄道網の普及がめざましかった当時、鉄道員の使用する時計の精度は十分ではなく、それが原因となる鉄道事故も少なくありませんでした。
クリーブランドの時計商ウェッブ・C・ポールは、鉄道時計の基準と査定を統一することで、時計の精度向上に努めました。これが「ポール・オフィシャル・スタンダード」といわれる規格です。
その中でも、ハミルトンの公認鉄道時計が備える精度の正確さと耐久性は多くの鉄道員に愛用され、「アメリカ鉄道のタイムキーパー」と呼ばれました。ハミルトンは、鉄道の発達と密接に関係しながら成熟期を迎えます。
●デザインと広告宣伝
創業当時の鉄道時計製作で培った技術をベースに腕時計を開発し、常に時代を反映しながら成長した、アメリカンウオッチを代表する時計メーカーでもあります。優れたデザインやスタイリングを最大の特徴とするブランドで、イメージを重視したビジュアルを用いて広告宣伝に力を注いでいます。
●人気モデル
「ベンチュラ」はそのアシンメトリーなデザインが話題を集め、一世を風靡しました。また「パルサー」はLEDを搭載した初期のモデルで、こちらも未来的なデザインが業界に大きなインパクトを与えました。
一方、ミリタリーウオッチブランドとしての知名度も高いのが興味深いところです。なかでも船舶用のマリンクロノメーターは高い評価を得ました。現行のラインアップでも、ミリタリー調のデザインを取り入れたカジュアルなラインが人気を集めます。
●現在のハミルトン
現在のハミルトンには、モダンテイストを採り入れた意欲的なニューモデルと、古き良きアメリカを思い起させるリバイバルモデルという二つのラインナップがありますが、いずれもデザイン面、技術面においてオジナリティあふれるタイムピースに仕上がっています。
アメリカンウオッチのパイオニアでありながら、スイスの最新技術が融合した高機能と、クリエイティブで練されたデザインが高い評価を得ている人気ブランドであるといえるでしょう。現在はスウォッチグループ傘下にはいっています。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
http://www.idia.jp/
兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。