ジャガー・ルクルトは時計通の中でも評価の高い腕時計ブランドの一つです。そのムーブメントの美しさは、数々の腕時計をみてきた熟練の時計職人をもうならせます。
●エンジニア・ルクルト
1833年、エンジニアで発明家でもあったアントワーヌ・ルクルトは、自身のアトリエを構えました。その後ジュウ渓谷において、40にわたる専門職と20の最新技術をひとつの公房に集約し、手作業と機械作業を融合させたマニュファクチュールを実現しました。
●アール・デコスタイル
1903年、創設者の孫にあたるジャック・ダヴィド・ルクルトが、時計職人のエドモンド・ジャガーを会社に招聘すると、ジャガー・ルクルトの時計にはアール・デコスタイルが定着しました。
1937年に社名を現在の「ジャガー・ルクルト」に改め、自社で設計/開発/製造することができる、スイス屈指のマニュファクチュールが誕生しました。
●マニュファクチュール
ジャガー・ルクルトは、時計製造の全行程を自社内で行う「マニュファクチュール」の代表的存在です。170年を超える歴史の中で、千種類以上の機械式ムーブメントを開発しています。
その精密な時計製造を支える基盤は、手作業を重視したブランドの姿勢にあり、現在でも最もシンプルなレベルソ(後述)の製作に必要な工程において、その9割以上は手先の器用さが必要な作業だといわれています。
●レベルソ
レベルソはジャガールクルトを代表するモデルです。もともとはポロの競技者が、時計の文字盤面を保護するために、時計部分を反転させることができる機能をもたせるように設計されたレベルソですが、その後バリエーションを増やし、中でも両面に時計表示機能を持たせた「デュオ」シリーズは高い人気を集めています。
「デュオ」に採用された「一つのムーブメントで二つの時刻を表示する」技術は、他社からも高い評価を得ました。
●革新的アイデア
「文字盤をひっくり返せないか」「一つの時計で二つの時刻が見られないか」といった、顧客のシンプルな要求を実現しようとする姿勢もさることながら、ジャガー・ルクルトは顧客の期待を一枚上回る完成度と美しさで、実現することができるのが驚きです。
エンジニアであった創業者の精神が脈々と息づいているからこそ、生粋の時計職人では決して思いつかないような革新的アイデアに満ちた時計を、次々誕生させることが出来るのでしょう。
●上品な雰囲気と美しさ
前述のように、エドモンド・ジャガーの参画によって、ジャガー・ルクルトのすべての時計にはアール・デコの価値観が浸透しました。
今もアール・デコの哲学は引き継がれ、ジャガー・ルクルトの時計は精度の高さだけでなく、特有の上品な雰囲気と美しさを兼ね備えています。
ため息の出るような上品な腕時計を見つけたら、それがジャガー・ルクルトである可能性は高いでしょう。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。