タイメックスはアメリカの時計メーカーです。意外かも知れませんが、タイメックスはアメリカに本拠地を構える唯一の時計ブランドです。その経営思想や生存戦略、ファンの囲い込み方は他の時計ブランドとは方法が異なり、これぞアメリカ、といえる力強さを持っています。
●ブランドの歴史
タイメックスは1854年にアメリカで誕生した歴史のあるメーカーです。タイメックスの歴史を語るには、ウォーターベリー社とインガーソル社というふたつの時計会社について語る必要があります。
資本や母体となる企業を変えながらも、その歴史は途絶えることなく続き、現存する唯一の米国系時計ブランドとなりました。
●大衆向けの時計
タイメックスは「誰にでも手に入る時計」をつくることをコンセプトとしています。ともすると高級感やステイタスシンボルとしての役割を求められがちな腕時計を、ひとつの道具として割り切り、安価で実用的な時計を多数輩出してきました。
●低価格の工夫
腕時計は精密機械です。安価に仕上げる、といっても限界がありますが、タイメックスは様々な工夫をすることでこれを実現してきました。
摩耗を防ぐために用いられる軸受けの石の数を減らす、メンテナンスが出来ない組み立て方にする、耐衝撃機構を新たに開発する、などがこれにあたります。
●使い捨て腕時計
安価で実用的な腕時計。これを追求した結果、タイメックスは「安くて頑丈」な時計製造のノウハウを手に入れます。これを一歩進めて、「使い捨てできる腕時計」の開発と事業化に成功しました。
タイメックスの「ディスポーサブルウォッチ」は、主に軍用時計として採用されましたが、後年になってそのチープ感がファッションアイテムとして人気を集めたこともあります。
●セレブに愛される時計
例に漏れず、タイメックスもクオーツショックで大打撃を受けましたが、時代の要求に応える形でスポーツウオッチなどのラインナップを拡充し、なんとか生き残ることに成功しました。
このころから、米国の有名人が愛国者精神を伝えるアイテムとして使われることも増えました。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。