突然ですが、「腕時計」以外の時計をいくつ挙げることが出来ますか。今日用いられるクオーツ時計や機械式時計が発明される以前にも、人間は様々な形で時間の計測や認識を試みていました。
原始的な日時計から、水や火の自然原理を利用した時計まで、機械式時計以前の時計を紹介します。
●体内時計
「腹時計」というと冗談のように聞こえますが、道具としての時計が誕生する以前、人間の感覚による「時計」が生活に利用されていたであろうことは想像に難くありません。
また、太陽の有無や高度の変化、潮の満ち引き、季節の移り変わりなど自然によるものや、月経や妊娠期間、睡眠といった生理的な根拠によるものまで、「時間」を感じることができる出来事は数多く存在していたのでしょう。
●日時計
太陽の規則的な運行から「日」の概念を身につけ、さらに太陽によって生じる「影」と太陽の動きが同期することを学んだ人間は、「日影棒(グノモン)」を発明し、直接太陽を見なくとも一日の時間の流れを確認することが出来るようになりました。
以降、太陽の高さ(角度)の測定を組み合わることで、季節による変化を補正する術を身につけました。
●水時計
雨の日や曇りの日、また夜間に時刻を知ることができないのが日時計の弱点でした。これを克服したのが「水時計(漏刻)」です。
容器から水の滴下する速度がほぼ一定であることを利用し、水が流れ出す時間か水がたまる時間を計ることで時間を知る仕組みです。水圧や水温の影響を受けるため、高い精度の実現は難しい時計です。
実際に使用された水時計は複数の箱を使用し、上段の箱から下段の箱に順次水を送る方法で水量を安定させ、精度を上げる工夫がなされています。最下段に備えられた「浮き」の浮き沈みによって時刻を読み取ります。
●砂時計
水時計は優れた時計でしたが、液体であるが故に扱いづらく、また気温が低い場所では凍ってしまうなどの短所がありました。
それにかわって登場したのが「砂時計」です。砂時計は現在でも身近な時計の一つです。砂の代わりに違う物質を入れた時計も多く見られます。
●燃焼時計
線香やろうそく、ランプ、縄など、物が燃える速度で時間の経過をはかる「燃焼時計」もひろく用いられました。
日時計、水時計、砂時計、燃焼時計などは主に公的な場所で用いられ、鐘などにより伝達することで市民の時刻の基準となりました。
砂時計や燃焼時計は、「時計」よりも「タイマー」の役割で用いられることが多かったようです。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。