ウブロは1980年創業の、比較的新しいブランドです。新素材を意欲的に採用するなど、前衛的な時計づくりが特徴で代表作「ビッグ・バン」を大当たりさせて時計業界でのポジションを一気に築き上げました。
●創業とブランド名
ウブロはカルロ・クロッコによって、スイスで創業されました。現在の人気からは想像出来ないですが、これが約40年前のことです。
ウブロの社名はフランス語で「舷窓」を意味しており、船に取り付けた窓を連想させるデザインのベゼルを持つモデルを多数製作しています。
●素材の挑戦
腕時計といえば本体が金属、ベルト部分が革もしくは金属、という時代が非常に長く続きました。ウブロはその常識を破ることで、すでに円熟しきった時計業界に切り込みました。
高級感のある金属素材とスポーティなラバー素材を組み合わせるなど、大胆な素材使いは当時賛否両論ありましたが、多くは歓迎の声だったようです。
実は、腕時計業界において、素材でのアピールはなかなか上手くいかないことが歴史的に証明されているのですが、数少ない成功例のひとつとして他のブランドにも影響を与えたことは間違いありません。
●ジャン・クロード・ビバー
2004年、オメガのマーケティング戦略を担ってきたジャン・クロード・ビバーが、ウブロのCEOに就任します。彼は「ブランドの持つ個性の継続」と「素材の融合」をコンセプトに、ウブロらしい時計の製作に着手します。
もちろん、すでに時計業界で名の通ったジャン・クロード・ビバーの参画も、注目度を上げるのに一役買ったのは言うまでもありません。
●ビッグ・バン
2005年に発売した「ビッグ・バン」シリーズは高い評価を受け、時計にまつわる賞もたくさん受賞するなど、ウブロの地位を一気に高めました。
ビッグ・バンは、ウブロの売上を3倍に、一節によると10倍に引き上げたそうです。デカ厚時計ブームにのったウブロは、さらに大きな「キングパワー」シリーズをリリースし、そのジャンルの代名詞的存在になりました。
●独自ムーブメント「ウニコ」
ウブロの魅力は、外装の素材やデザインだけではありません。ビッグ・バンのヒット後は技術への注力をすすめ、独自開発の自社ムーブメントである「ウニコ」を完成させました。
スペイン語で「ユニーク」を意味するウニコは、スケルトンバックでみたときの美しさを意識してつくられており、傑作の誉れも高いムーブメントです。
さらに、開発部にグランドコンプリケーション部門を設けており、さらなる技術力の向上のための投資を惜しみません。
●積極的なコラボレーション
古典的なマーケティング手法ではあるものの、ウブロは有名人や企業、スポーツイベントとのコラボレーションも積極的に行っています。
F1やFIFAワールドカップでタイムキーパーをつとめたのを筆頭に、世界市場を意識した有名人や団体とのコラボレーションは、時計業界を超えて注目を集めています。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。