財布や鞄で親しみのあるルイ・ヴィトンですが、洋服などのラインナップも充実しており、腕時計でも人気の商品を輩出しています。
●ブランドの黎明期
ルイ・ヴィトンは、スーツケース職人であったルイ・ヴィトンによって、1854年に創設されたファッションブランドです。創業からしばらくは、グレーのキャンバス地で作られたトランクを製造していました。
その後、生産規模をどんどん拡大し、1867年の万国博覧会で銅メダルを受賞すると、ブランドの知名度が一気に上がり、人気ブランドとなりました。
●模倣との戦い
当時、トランクの素材としてキャンバス地を貼り付ける方法は一般的ではなかったため、その珍しさや軽さが評判となっていました。
しかし、安易に真似できる特徴でもあったため、多くの模倣品が市場にあふれることとなります。これを受けて、模倣品対策として考案されたのが「ダミエライン」と呼ばれるデザインです。
●市場の拡大
ベージュとブラウンのチェック柄を施した「ダミエライン」は人気を博しました。しかし、ダミエラインが売れれば売れるほど、そのデザインを真似した商品が発売されるという、皮肉な事態に陥りました。
それでも成長を続けたルイ・ヴィトンは、1892年にハンドバッグの製造、販売をスタート。このころから、アメリカを中心とした世界市場にも目を向け始めます。
●さらなる模倣との戦い
ダミエラインに変わり、ルイ・ヴィトンが考案したのが「モノグラムライン」です。モノグラムラインはルイ・ヴィトンのブランドロゴと、いろいろな意匠を組み合わせたデザインで、日本の家紋からインスピレーションを得たともいわれています。
以降、各国の博覧会で高評価を得たルイ・ヴィトンは、順調に成長を続けていきます。
●巨大ブランドグループの創設
1970年代には日本市場にも進出。高度経済成長に湧く日本でも、高い人気を集めることとなります。
1987年には、同じフランスのシャンパンブランドであるモエ・ヘネシーと経営統合し、「LVMHグループ」が誕生します。以降、LVMHは数々の有名なブランドを傘下に収める、巨大企業となっていきます。
●腕時計のはじまり
LVMHの誕生は、グループ内の企業同士で技術の共有ができるという、大きなメリットがありました。この恩恵を受け、2001年、ルイ・ヴィトンが腕時計のラインナップを発表。翌2002年には、腕時計の製造と販売をスタートします。
ルイ・ヴィトンのカバンを想起させる深い茶色の文字盤のモデル、モノトーンのスタイリッシュなモデル、たくさんの色を取り入れた賑やかなデザインのモデル、著名なデザイナーとのコラボレーションモデルなどなど、バリエーション豊かな腕時計をたくさん制作しました。
そのデザインの良さが評価され、腕時計ブランドとしては後発ながらも人気ブランドの仲間入りを果たしました。
●腕時計の拡大
ルイ・ヴィトンの腕時計は、「ルイ・ヴィトンといえば旅行用かばん」のイメージを受け継ぎ、「旅」をテーマにした腕時計が多いのが特徴です。
また、路面店や百貨店での対応もよく、アフターサービスの良い時計ブランドとして認知されています。
2014年、ルイ・ヴィトンは時計産業の聖地でもあるスイスのジュネーブに、4,000平方メートルにも及ぶ敷地を持つ工房「ラ・ファブリク・デュ・タン・ルイ・ヴィトン」を完成させました。
また、スマートウォッチの開発も積極的に行うなど、開発力の高さも伺えます。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
http://www.idia.jp/
兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。