まにまにころころ[136]ふんわり中国の古典(孫子・その16)「孫子」読みの振り返り
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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コロこと川合です。今回は孫子の振り返り。短い本なのに長くかかったなーと思っていたのですが、15回程度だったんですね。全十三篇を15回ならまあまあスムーズに進んだって感じですよね。長く感じたのは、苦労したからか。(笑)




◎──第一篇:『孫子』計篇

戦争には国の存亡がかかっている。何よりも十分に考えるように。

大義名分の元に団結できているか、時期は適切か、地形は把握できているか、優れた将軍がいるか、軍規は守られているか、これらを真に知る者が勝つ。

将が私の計略に従うなら必ず勝つ。計略に従い、現場で臨機応変に対応する。戦争は相手の裏をかくことが大事で、それは現場判断でしか対応できない。

開戦前に計算し、勝算が高ければ戦に踏み切る。


◎──第二篇:『孫子』作戦篇

戦争にはとにかくコストがかかる。勝ったところで、長期戦は疲弊して国が弱る。その隙に攻められたらお手上げだ。だから、短期決戦が大事。

それと、遠くの戦場に物資を輸送するのは大変。だからできるだけ現地調達を心がけることが大事。戦上手はそのへんが上手い。

敵を倒す動機は怒りだけど、敵の利を奪う動機は報償。だから良い働きをした者は、すぐに賞賛してご褒美をあげる。敵の捕虜は手厚くもてなして取り込む。そうすれば、勝ちを重ねるごとにどんどん軍が強くなる。


◎──第三篇:『孫子』謀攻篇

戦争というものは、相手に損害を与えることなく勝つのが上策というもので、打ち破るのは次善の策。百戦百勝なんて最上じゃない。戦わずして勝てたら、それが最高。だからまず敵の計略を潰し、外交関係を破綻させることを考える。敵の軍を討つことはその後。城攻めなんて最悪。

敵のはかりごとを攻めることで、それを実現するから「謀攻の法」って呼ぶ。

自軍の兵力が敵軍の十倍なら相手を包囲、五倍なら攻めかけて、二倍なら相手の分断を図る。互角ならば、頑張って戦う。

劣っているならなんとか逃げ、勝てそうにないのならそもそも戦をしない。

将軍と君主が緊密であれば国は強く、隙があれば弱い。君主は、余計な口出しはせず、信じて任せるように。でないと負ける。

相手を知り、己を知れば、百戦しても負けない。
相手を知らず、でも己を知っていれば、一勝一敗、勝つことも負けることも。
相手のことも己のことも知らなければ、戦うたびに負ける。

つまり、彼を知り己を知れば百戦危うからず。


◎──第四篇:『孫子』軍刑篇

戦争は、負けない準備はできても、勝てるかどうかは相手次第なところもある。だからまずは負けない態勢を取れるかどうか。守りを固めて、一気に隙をつく。

戦上手というものは、何事もなかったかのように、一見簡単に勝つ。だから、本当の戦上手は一般には名前が知られない。相手の隙をじっと待ち、崩して、勝ちを見定めてから攻め落とす。

計算し、投入すべき物量を考え、兵数を定め、戦力差を秤にかけ、勝敗を読む。勝利する者は圧倒的な力量差をもって臨み、勢いを持って戦をさせる。これが「形」、つまり戦に臨む態勢である。


◎──第五篇:『孫子』兵勢篇

上手に部隊を編成し、旗や太鼓で自在に指揮をとる訓練をすることで、大軍勢でも小部隊のようにスムーズに動かせる。

そして、正攻法と柔軟な判断による「奇正」、十分な備えを持って相手の隙をつく「虚実」が勝利を導く。正攻法によって対峙し、臨機応変な戦い方で勝利をつかむ。「奇」に長けた将の采配は、果てしなく、また変幻自在である。

戦は奇正の組み合わせに過ぎないが、その変化は無限で極め尽くせない。

戦上手は全体の勢いを重視して、それを個々の人に求めず、巧みな人選で全体としての勢いが生まれるようにする。


◎──第六篇:『孫子』虚実篇

戦争は相手をいかにコントロールするかがポイント。誘い出したり、相手の裏をかいたりして、手の内を読ませない。手薄なところを攻め、攻められる箇所を厚く守る。疲れさせ、飢えさせ、慌てさせ、分散させ、虚を突く。

敵情を調べて得失を計算し、相手を動かしてみてその特徴をつかみ、敵に戦闘態勢を取らせてみて地勢の有利不利を把握し、軽く小競り合いを起こして強いところと弱いところを知る。

軍の態勢の極みは、動きの読めない形をとることである。軍の態勢というのは水のようなもの。決まった形はなく、敵の態勢に応じ変化し、勝利をつかむ。


◎──第七篇:『孫子』軍争篇

いかに上手に行軍し機をつかむか、この軍争ほど難しいものはない。回り道をしながらも相手を利益で釣り出して、相手よりも遅れて出発しておきながら、先に目的地に到達する。これが迂直の計である。これが難しい。情報を集め、外交をものにし、地形を把握し、いかに有利を得るかを考える。

行軍というものは、その疾きこと風のごとく、静かなること林のごとく、侵略すること火のごとく、動かざること山のごとく、知りがたきこと陰のごとく、動くこと雷震のごとし。

相手の気力が衰えたところを討つ。これが気を治める者。敵の乱れを待ち、静かに動きを待つ。これが心を治める者。遠くからの敵をゆったりと待ち、疲れて空腹の敵を討つ。これが力を治める者。正々の旗、堂々の陣を正面から迎え撃たない。これが、変を治める者。

また、高い位置の敵を攻めない、丘を背にした敵を迎え撃たない、偽りの退却に釣られない、気勢の鋭い敵を攻めない、おとりに釣られない、撤退する敵を引き留めない、包囲しても逃げ道を作る、追い詰めすぎない、これが原則。


◎──第八篇:『孫子』九変篇

行軍の困難な地に留まらない。諸国の勢力が入り交じる地では外交に注意する。敵地深くに留まらない。囲まれたら計略で抜けろ。絶体絶命なら戦うしかない。

また、通ってはいけない道、攻撃してはいけない敵軍、攻めてはいけない城、攻めてはいけない土地、従ってはいけない君命もあると知っておくように。

軍を率いる将には、九変の利、つまり臨機応変に対応する能力が求められる。

戦争においては、敵が来ないことを期待せず、十分な備えを頼みとするように。敵の攻撃がないことを期待せず、攻撃できない態勢を整えることを頼みとせよ。

将には、こだわると危機に陥る五つの状態「五危」がある。

「必死」は殺される。命を投げ打つ蛮勇な態度では殺されてしまう。
「必生」は捕虜にされる。生に執着しすぎて臆しては捕らえられてしまう。
「忿速」は侮られる。怒りっぽいと侮られ隙をつかれる。
「廉潔」は辱められる。清廉潔白に過ぎてはその心情を攻められる。
「愛民」はわずらわされる。兵卒や民を愛しすぎては悩みが増える。

軍を滅ぼし将が命を落とすのは必ずこの五危のどれかである。


◎──第九篇:『孫子』行軍篇

山・河・沼・平地、それぞれ地形に合わせて適した行動を取るように。概ね、軍は高いところが有利で、日向にいるのが兵の健康にもいい。危険な地形には近づくな。逆に、敵をそこに追い込め。

また、険阻な地、池、窪地、葦原、山林、草木の生い茂る地があれば、必ず、慎重に捜索せよ。こういったところに敵の伏兵が潜んでいる。

軍使の言葉や敵兵の動きを観察し、敵情を読めば勝てる。

兵士は温情で従えて、軍規で統率を図る。アメとムチ。これが必勝につながる。


◎──第十篇:『孫子』地形篇

地形の特性に合わせて熟考するのは、軍を率いる将の最も重大な任務である。

また、軍には気の緩みや統制の乱れなど、好ましくない状態がある。これらは天災ではなく将の過失だ。これらの熟考も将の最も重大な任務である。

地形を知り勝算を立てるのが将の役割で、君主の命がどうであれ自ら判断し、ただ人民の安全を考えて、君主の利となる将は国の宝である。

将は配下の兵士を、赤子ように見れば、いたわりの気持ちで深い谷底へも共に進んでいける。また兵士を愛する我が子のように見れば、生死を共にしようと思えるようになる。でも、度が過ぎれば使えなくなり、それはワガママな子を持つようなもの。

戦に通じた将というものは、敵を知って、味方を知って、地形のことも知って、行軍に迷いがなく、戦端が開かれた後も苦境に陥らない。彼を知り己を知れば、勝利、危うからず。天を知り地を知れば、勝利、行き詰まらず。


◎──第十一篇:『孫子』九地篇

戦場には敵地への進行度や状況によって特性がある。敵軍にとっての特性と、自軍にとっての特性を踏まえて、自軍の兵士が必死に戦うしかない状況を作る。追い込まれた兵士は、指示がなくても互いに戒めあい、将が求めるまでもなく善戦し、約束させずとも助け合い、命令をせずとも信頼できる部隊になる。

あとは迷信のたぐいを禁じて迷いを晴らしてやれば、命をかけて死ぬまで戦うだろう。将は兵に考えを悟らせず、死地に追い込むのが仕事である。

戦争の要点は、敵の意図を読んだ上であえて進み、千里先において敵将を討ち取ることだ。はじめは処女のように振る舞って敵の油断を誘っておいて、隙を見るやいなや、脱兎の如くすばやい動きで攻撃すれば、敵はこれを防げない。


◎──第十二篇:『孫子』火攻篇

火攻めの対象は、人、食料、武器、蔵、行路。火攻めには準備と適した時期がある。乾燥を狙う。また、火の動きを見て、それに応じた展開で攻める。

戦に勝利したとしても、戦果をまとめ上げられないようではいけない。それは費留、つまり戦費の無駄と命名されるものだ。聡明な君主は怒りまかせの行動を慎み、良将は戒める。これが国を安泰とし軍隊を保つ道である。


◎──第十三篇:『孫子』用間篇

勝つには情報を得ることが必須。諜報のためのコストを惜しんではいけない。

間諜には五種ある。

郷間:敵国の領民を間諜として利用すること。
内間:敵国の役人を間諜として利用すること。
反間;敵方の間諜を二重スパイとして利用すること。
死間:偽情報を流し、敵国に潜入させた間諜を通じて敵へ知らせること。
生間;潜入させた間諜に戻らせて敵状を報告させること。

全軍の中で間諜は、最も親しく、最も厚遇すべきで、最も機密性が求められる。間諜のもたらした情報が公表前に聞こえてくるようであれば、情報を漏洩した間諜も、そのことを知らせてきた者も、みな始末しなければいけない。


◎──さらに短く。

もっと短くまとめたかったんですけど、つい、削りきれなくて。

……もう一度やってみてもいいですか?(笑)

第一篇:『孫子』計篇

戦争はヤバイ。やるなら十分考えて、勝てそうなときだけにしろ。

第二篇:『孫子』作戦篇

戦争にはとにかくコストがかかる。だから短期決戦。遠くへの物資輸送は大変だからできるだけ現地調達。

頑張りはすぐ褒める。敵の捕虜はもてなして取り込む。そうすれば、勝つたびどんどん軍が強くなる。

第三篇:『孫子』謀攻篇

戦争は、相手に損害を与えることなく勝つのが上策。戦わずに勝てたら最高。

将軍と君主が緊密であれば国は強い。君主は、余計な口出しせず任せるように。

そして、彼を知り己を知れば百戦危うからず。

第四篇:『孫子』軍刑篇

戦争は、負けない準備はできても、勝てるかどうかは相手次第なところもある。だからまずは負けない態勢を取れるかどうか。守りを固めて、一気に隙をつく。

第五篇:『孫子』兵勢篇

正攻法と柔軟な判断による「奇正」と、十分な備えで相手の隙をつく「虚実」が勝利を導く。正攻法によって対峙し、臨機応変な戦い方で勝つ。

戦上手は全体の勢いを重視して、それを個々の人に求めず、巧みな人選で全体としての勢いが生まれるようにする。

第六篇:『孫子』虚実篇

戦争は相手をいかにコントロールするかがポイント。軍の態勢の極みは、動きの読めない形をとること。決まった形はない。

第七篇:『孫子』軍争篇

いかに上手に行軍し機をつかむか。行軍は風林火山。

第八篇:『孫子』九変篇

将には、九変の利、つまり臨機応変に対応する能力が求められる。

戦争においては、敵が来ないことを期待せず、十分な備えを頼みとするように。敵の攻撃がないことを期待せず、攻撃できない態勢を整えることを頼みとせよ。

将には五つの危険な心の状態がある。

必死はダメ。死ぬ。必生もダメ。捕まる。怒りっぽいのもダメ。隙をつかれる。清廉潔白もダメ。そこを狙われる。民を愛しすぎてもダメ。悩みが増える。

第九篇:『孫子』行軍篇

地形に合わせて適した行動を取るように。危険な地形には近づくな。逆に、敵をそこに追い込め。また、険阻な地、池、窪地、葦原、山林、草木の生い茂る地には敵の伏兵が潜んでいる可能性が高いから注意。

第十篇:『孫子』地形篇

戦に通じた将というものは、敵を知って、味方を知って、地形のことも知って、行軍に迷いがなく、戦端が開かれた後も苦境に陥らない。彼を知り己を知れば、勝利、危うからず。天を知り地を知れば、勝利、行き詰まらず。

第十一篇:『孫子』九地篇

戦場には敵地への進行度や状況によって特性がある。敵軍にとっての特性と、自軍にとっての特性を踏まえて、自軍の兵士が必死に戦うしかない状況を作る。将は兵に考えを悟らせず、死地に追い込むのが仕事である。

第十二篇:『孫子』火攻篇

火攻めの対象は、人、食料、武器、蔵、行路。火攻めには準備と適した時期がある。乾燥を狙う。また、火の動きを見て、それに応じた展開で攻める。

第十三篇:『孫子』用間篇

勝つには情報を得ることが必須。諜報のためのコストを惜しんではいけない。全軍の中で間諜は、最も親しく、最も厚遇すべきで、最も機密性が求められる。


◎──今回はここまで。

二回もやっちゃったので、だいぶ長くなってしまいました、すみません。もう、これで本当におしまいです。次回からは、また別の本を一緒に読んでいけたらと思っているのですが、何にするかは未定です。たぶんまた中国古典かな。


【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
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