腕時計は、いまでは数百円で購入できるものもありますが、登場からつい最近まで高額商品の代名詞でした。現在でも、少し良い腕時計を購入しようとすると思ったより高い買い物となり、びっくりするはずです。
腕時計は直接身につけるものですので、新品を手に入れたい人も多いようですが、同じものが中古で安く販売されているのを見ると気持ちが揺らぐことでしょう。
そして、「新品で買ったとしても、この中古商品のようにすぐに値段が落ちてしまうのでは?」という心配が頭に浮かんでくるはずです。タイトルに挙げたような、「価格が落ちない腕時計」は、果たして存在するのでしょうか。
◎価格の下落を補う要素
腕時計は金属や樹脂でできた機械ですので、使えば摩耗や故障のリスクがあり、ヨゴレやキズがつく可能性があります。つまり、手に入れた瞬間からモノとしての価値がさがっていくのは必然なのです。
一方で、この価格の下落を補うことのできるポジティブな要素があれば、その下落幅を吸収し、うまくいけばプレミアムがついて買値よりも高額になることもあるでしょう。
この「ポジティブな要素」をたくさん備えた腕時計が、「価格の落ちない腕時計」であるといえそうです。では、どんな要素があれば価格が落ちないのかをみてみましょう。
◎需要よりも供給が少ない
欲しがる人が多いけれど、流通する商品が少ない場合、商品の価格はあがります。アンティークウォッチやヴィンテージウォッチは、残っている数に応じて価格があがります。
古ければ古いほど高額である、とはいいすぎですが、概ねこのルールに則った値付けがされるはずです。また、新しい腕時計でも販売数が少ないものは発売と同時に高額になることもあるでしょう。
◎人気がある
単純に、人気がある腕時計は市場で高く評価されるため、定価からの下落幅が少なくなります。代表的なのがロレックスの腕時計です。
ロレックスが購入した金額よりも高く売れた、というような話はよく耳にします。ヴィンテージモデルだけでなく、現行品も古いモデルと近い動きで値上がりしており、ちょっとした投資感覚でロレックスの腕時計を購入する企業や個人がたくさんいるようです。
問題があるとすれば、新品でも中古でも、購入するときにほとんど値引きされないため、高額な割には値上がりの幅やペースが少なく感じることでしょうか。
◎芸術性がある
手間のかかる細工や、想像を絶する技術が使われている腕時計は、腕時計としての価値を超えて、芸術作品として扱われることがあります。
このような腕時計は非常に高値で取引されているため、高級車一台分どころか、マンションや一軒家を購入できるくらいの価格のものもみられます。とはいえ、確かに値下がりはしないものの、そもそも手に入れられるかどうかという別の問題がありそうです。
◎管理されている
同じ中古品でも、きちんとメンテナンスされているものや、来歴が確かなものは評価が上がります。これは自動車の売買の仕組みを想像すると、理解しやすいかもしれません。
定期的にディーラー(メーカー)できちんとしたメンテナンスをうけたり、オーナー歴がはっきりしていると、次のオーナーは安心して利用することができます。箱やギャランティーなどの有無も、ここに含めても良いでしょう。
◎話題性がある
最後に、不確定な要素ではありますが「話題性」も、一つのポイントとして紹介します。映画やドラマなどで主人公が身に着けていたことで、あるいは時事ニュース、たとえばオリンピックや宇宙関係の出来事などで注目を浴びるモデルがあります。
これらは一時的なものではありますが、買取価格や販売価格に反映されますので、タイミングをきちんと見極めるとより安価に入手したり、高額で手放すことができるはずです。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。