まにまにころころ[172]ふんわり中国の古典(論語・その35)曹操との酒宴で論語を引用する劉備のお話
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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コロこと川合です。新型コロナだインフルだ花粉だとマスクマンが溢れかえる今日この頃、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

私、マスクつけるのがどうも苦手で。メガネも苦手。顔に何かつけるのが苦手。首も手首も同じで、マフラーも腕時計もあまりつけません。足首もそうですね。アンクレットはつけません。付けてる人見かけることのほうが少ないですが。

まあ外に出ること自体が苦手なので、マスクもメガネもマフラーも腕時計も、なくったって平気なんですけどね。それでもたまに買い物くらい行くんですが、マンション出て30秒のドラッグストアに。

そしたら、マスク品切れで、ニュースの答え合わせしたみたいな気分でした。わー本当にマスクないんだー、って。手の消毒するアルコールスプレーも。

買い占めてメルカリで転売してる輩も多いみたいですが、それはまあ、まだ、なんとか理解できます。未知のウィルスに頭やられて、モラルが欠落したのかなってくらいで。でも、本気で怖がって買い占めてる人もいるんですよね。

そんなに要る? 毎日外出してもひとり30枚でひと月。四人家族で120枚。三か月使う分を備蓄しようとしたとして、360枚。なのに、千って単位で買ったりね。いくつ口ついてるんでしょうね。

と、ちょっとマスク大好きっ子たちを揶揄するようなこと書いちゃいましたが、マスクと手指の消毒、ちゃんと効果あるっぽいんですよ。

というのも、お世話になってる会社の社長さんが、世の流れに乗って会社玄関にマスクと消毒スプレーを設置して、社員さんも自由に使っていいようにしたらしいんですが、例年に比べると風邪やらインフルエンザでの病欠が減ったと。

ですのでみなさん、出先であのスプレー見かけたらぜひ使ってみてください。今、あっちこっちに置いてありますから。消毒、消毒。

それでも周りを見ると、風邪もインフルも大流行してます。新型コロナ以上に。

私の仕事仲間も風邪で倒れてしまいまして。話をよくよく聞いてみると、風邪ひいて、薬飲んで、その状態でエナジードリンク飲んで、倒れたそうですが。ダメ、ぜったい。混ぜるな危険。

ともあれ健康には気をつけましょう。前々回に出てきた孔子先生の話じゃないですが、涼しい季節とはいえ、食べるものにも気をつけてくださいね。

さて、今回も論語を進めましょう。今回で半分終わって、折り返しです。





                 ◇

◎──巻第五「郷党第十」十八

・だいたいの意味
大廟の中では、ひとつひとつについて毎々に質問する。

──巻第五「郷党第十」十八について

これ、ずっと前にも同じ話が出てきましたよね。巻第二「八いつ第三」十五で。一年以上前のことなので、どなたも忘れてそうですが。

その時は、礼に詳しいって言われてるくせにいちいち質問してるじゃん、って、孔子先生を馬鹿にするようなこというやつに、それが礼ってもんだよと返したってな話でした。

ここでは改めて、そうするものだと。

◎──巻第五「郷党第十」十九

・だいたいの意味
友が死んで、身寄りもないという時のこと。孔子先生は、私の所で葬儀しなさい、と仰った。友からの贈り物は、車馬ほどでも、祭肉でなければ拝礼はされなかった。

──巻第五「郷党第十」十九について

前半と後半で全然違う話ですが、どちらも友だち関係の話。友だちが亡くなり、葬儀を出す身寄りがない場合は自分の所でやりましょう、と。

また、友だちからは、どんな立派な贈り物をしてもらっても、祭祀のおさがりであるとか特別な理由がなければ、拝礼することはなかったと。

ふーん、というくらいのコメントしか出てこないので、次にいきましょう。

◎──巻第五「郷党第十」二十

・だいたいの意味
寝る時は死体のようにならず。日常では顔つきを作らず。

──巻第五「郷党第十」二十について

死体のような寝方ってどんなんでしょうね。エジプトのミイラはきちんとした寝相に思えるので、また違うと思うんですが。大の字にならない、って書いてある本もありましたが、当時の死体ってそんなふうだったんでしょうか。

後半は、顔つきの話。裏を返せば、外では気を張っていろってことでしょう。

◎──巻第五「郷党第十」二十一

・だいたいの意味
孔子先生は、喪服の者を見ては、親しい間柄の相手といえども必ず、きちんと態度を改められた。礼装で冠をつけた人や目の不自由な人を見た時も、親しい間柄の相手といえども必ず、きちんと態度を改められた。喪服の者には式の礼をとり、同行の戸籍係にも式の礼をとられた。豪勢な食事の席では必ず表情を改められてお立ちになった。迅雷風列には、必ず居住まいを正された。

──巻第五「郷党第十」二十一について

孔子先生が、改めてきちんとされるシーンの列挙です。喪服が二回出てきて、実は違うものなのですが、ややこしいのでどちらも「喪服」としました。

最後の部分、原文の読み下しでは「迅雷風烈、必ず変ず」です。以前にもこれ少し触れたような気がするんですが、とある有名な男が引用しています。

ここから今回もまた講談調で。(まだマイブーム続いています)

時は戦国乱世、といいましても、日本の話じゃございませんで、お隣、中国。三国志の時代でございます。

まだ魏・呉・蜀の三国ができるずっと前、乱れに乱れた世において、群雄割拠する中、曹操、劉備がそれぞれ力をつけてきた、そんなある日のこと。

曹操が劉備を酒宴に招いたのでございます。

一度、サシで酌み交わしたい。

劉備は驚きました。曹操討つべしと心の奥で思っている。しかしその時、曹操は劉備よりもずっと力をつけ、自分よりはるか先を行く存在。

己の野望を悟られては、まずい。

気まぐれで誘ってきたのではあろうけれども、なんとか、こちらのことなどは侮りきったままいて欲しい。いずれ己が力をつけ、戦いを挑めるその日までは、と。警戒されては潰される。今の劉備はまだ、吹けば飛ぶような存在でした。

天気も悪いし断っちゃおうか、なんて思ったりしたかどうかはわかりませんが、断って、万が一、それがきっかけで警戒されては、元も子もありません。

しぶしぶながら招きに応じた劉備でありました。

実は曹操は、劉備の才能を警戒して、腹を探ってやろうと呼び出したのでありました。使えそうなら取り込もう、邪魔になりそうなら、斬って、やろうと。

雨が降りしきる中、庭園の東屋で差し向かい、差しつ差されつする二人。

少し話題がきなくさくなると、のらりくらりと無難にかわす劉備。

これではらちがあかないと思ったのか、ここで曹操が一気に切り込んだ!

今、天下で英雄と呼ぶに値する者は、俺と、そして、お前しかいない!

侮るどころか、なんと、そこまで警戒されていたのか! と、はたと驚く劉備、思わず手にしていた匙を取り落とす! しまった! 動揺を悟られてはいけない!

劉備の焦りと驚きを表すかのごとく、そこに轟く雷鳴が! ガラガラピシャーン!

劉備、しめたー! と咄嗟におびえた表情を作り、か、か、カミナリは、どうも、昔から苦手で、ダメでして、と、震えた声で絞り出す。

古の聖人、孔子も「迅雷風烈、必ず変ず」と申したそうでございますが、孔子もカミナリが怖くて態度を改められたのでしょうかね、ははっ……

などと、失態を取り繕うような言葉を並べたのでございます。

それを聞いた曹操、それこそ侮り、油断があったのでございましょう。

何を聞いても萎縮したような返事、耐えかねズバッと切り込んでみたものの、雷鳴に脅えて震える始末、どうも余の見込み違い、買いかぶりであったかのう。

ほどなく酒席はお開きとなり、劉備は無事、帰路についたのでありました。

ここで命を拾った劉備は、後に頭角を現し、三国の一角を担い曹操に対抗する大人物となりえたのであります。

曹操との酒宴で論語を引用する劉備のお話、これにて読み終わりといたします。

◎──巻第五「郷党第十」二十二

・だいたいの意味
車に乗る時は、必ず正しく立ち、紐を握る。車中では後ろを振り返らず、大声で話さず、指さしたりせず。

──巻第五「郷党第十」二十二について

乗り降りには十分気をつけなさい、中に入ったら、観光バスじゃないんだから、きちんとしなさい、という話。

◎──巻第五「郷党第十」二十三

・だいたいの意味
驚いて飛び立ち、飛び回ってまたとまる。それをご覧になって孔子先生が仰った。

山梁の雌キジ、時なるかな。時なるかな。

子路がこれを捕らえようとすると、キジは三度鳴いて飛び立った。

──巻第五「郷党第十」二十三について

ここは、意味不明で有名な箇所でして。

とりあえず、通説の解釈のうちのひとつを参考に、雰囲気重視で書きましたが、子路が、孔子先生がキジの美味しい季節だと言ったと勘違いして料理したら、孔子先生は三度においをかいで席を立たれた、とか、何かの詩を引用したのだとか、諸説ありまくりの箇所です。

が、そんなものあーだこーだ言っても正解は分からないですし、いいでしょう。

スッキリしませんが、ここで「郷党第十」は終わりです。

ちょうど『論語』全二十章のうち、半分が終わったことになります。


◎──今回はここまで。

やー、やっと半分です。こんなに長くなるとは思いませんでした。

『論語』、後半の十章は後から付け足されたとの説もありまして、いっそもう、前半だけでおしまいにしようかなんてことも思わなくはなかったんですけども、昔から二十章が読み継がれているんだしと思い直して、次回以降も続行です。

さて、今回もつい、講釈師の真似事をしてしまいましたが、講談を知らないと、講談風に書いたところで講談風に読めないんじゃないかと気がつきました。

ちょうど明日11日、講談界の超新星・神田松之丞さんが、真打ち昇進とそして、大名跡である伯山を襲名し、六代目・神田伯山となる予定です。

冒頭の話に戻りますが、みなさん健康には十分お気をつけくださいね。

用がなければ外出せず、家で講談を聴くか、『論語』でも読んでてください。

それではまた次回。


【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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