コロこと川合です。新コロ騒動、収束どころか、拡大の一途って感じですねえ。せめて、意識的にポジティブな話にチューニング合わせて、騒動が収まるまでなんとか心が折れてしまわないようにしましょう。
パレアナ(ポリアンナ)のように、良かった探し、ぜひ。
まあ、こんな時にこれを読んでる人は大丈夫だと思いますので、いつも通り、『論語』を読み進めていきましょうか。
◎──巻第六「先進第十一」十二
・だいたいの意味
季路(子路)が鬼神に仕えることについて尋ねた。孔子先生は仰った。人に仕えることもできず、どうして鬼に仕えられるか、と。さらに、死について尋ねると、孔子先生は仰った。未だ生も知らず、どうして死を知ろうか、と。
──巻第六「先進第十一」十二について
鬼神というのは、鬼が霊魂的なもの、神が神霊的なもの、です。子路が霊魂に対してどのような態度で臨めばいいのかを尋ねたところ、人に対することさえ難しいのに、霊魂のことなんて分からないよと、はぐらかされました。
雍也の二十二で、「鬼神は敬してこれを遠ざく」とありましたが、孔子先生の鬼神への態度は一貫していますね。敬意は払いつつ、踏みいらない。
かわされてもめげない子路はさらに続いて、死について尋ねましたが、同様にはぐらかされました。生も分からないのに死なんて分からないよって。
◎──巻第六「先進第十一」十三
・だいたいの意味
閔子騫(びんしけん)は側に侍して、誾誾如(慎み深い様子)である。子路は行行如(誇らしげな様子)である。冉子(冉有・冉求)と子貢は侃侃如(和やかな様子)である。孔子先生は(彼らに囲まれて)楽しまれていたが、由(子路)のような者は、天寿は得られないだろうと仰った。
──巻第六「先進第十一」十三について
ぎんぎんじょ、こうこうじょ、かんかんじょ。前にも出てきましたね。まあ、意味はさておき、それぞれに性格が違っていて、彼ら高弟に囲まれて楽しげな孔子先生がふと漏らしたのが、子路は天寿をまっとうできない気がする、との不安でした。これ、的中するんですよね。
的中したから、後にこの言葉を思い出した誰かが記したんでしょうけど。
武に優れた真っ直ぐな男で、三国志で言えば張飛に徳を積ませた感じというか。酒に酔って部下に乱暴するような奴ではないんですが、ちょっと脳筋タイプで。勇猛果敢で、でもちょっと軽率で。
だいぶ前にも紹介しましたが、中島敦『弟子』が子路の物語です。
青空文庫で公開されていますし、それがKindleでも無料であると思いますので、興味ある方は是非。
◎──巻第六「先進第十一」十四
・だいたいの意味
魯の人が長府(倉庫)を建造した。閔子騫が言った。古いままでいいだろうに、なぜ改めて作る必要があったのか、と。(それを聞いて)孔子先生は仰った。あの者(閔子騫)は寡黙だが、口を開けば必ず的確なことを言う、と。
──巻第六「先進第十一」十四について
ここでも閔子騫がどういう人なのかが、孔子先生の評価から垣間見えます。今回は誾誾如(慎み深い様子)とか寡黙とかって出てきてますが、前回は孝行者だって話が出てきましたよね。継母にいじめられてた話で。耐えるタイプの人です。○○(門構えの中に言)
◎──巻第六「先進第十一」十五
・だいたいの意味
由(子路)の弾く瑟(二十五弦の琴)は、どうも私の家に合わないと孔子先生が仰ったところ、門人たちが子路に敬意を払わなくなった。孔子先生は、由は堂にのぼるところまではきているんだ、室に入るには届いていないだけで、と仰った。
──巻第六「先進第十一」十五について
軽口叩いたら思いのほか悪い影響が出てしまい、慌ててフォローする孔子先生。弟子が増えるとこういうことも起きますよね。
現代でも会社なんかであるんじゃないですか。社長が昔なじみの部長に対して、部長は馬鹿だからなー、なんてことを冗談で言って、言われた方も笑ってたら、その部長が部下から軽んじられるようになって、いやいやいや、みたいな。
◎──巻第六「先進第十一」十六
・だいたいの意味
子貢が質問した。師(子張)と商(子夏)とは、どちらが優秀でしょうか。孔子先生は仰った。師は過ぎるところがある。商は及ばないところがある。子貢が、では師が優秀ということでしょうかと言うと、孔子先生が仰った。過ぎたるはなお及ばざるがごとし、と。
──巻第六「先進第十一」十六について
久し振りに超有名フレーズ、きましたね! 過ぎたるはなお及ばざるがごとし!
子張と子夏はどちらも若手で優秀な門人です。子貢が、あいつらどっちが上ですかねー、って孔子先生に訊いたわけです。
子張と子夏も、これまでにも名前が出てきましたが、どっちも優秀なんですよ。なので孔子先生が仰る「過ぎる」「及ばず」は、才能の話じゃなくて、性格の話のようです。
子張はぐいぐい前に押し出す、パリピで陽キャタイプ。一方子夏は控えめで、どちらかと言えば陰キャタイプ。
押しが強すぎるのも弱すぎるのもどっちもどっちだよ、と。まあ、だとすれば、孔子先生は子貢の最初の質問には答えてないんですけどね。そのあたりも孔子先生らしいところです。はぐらかしの達人。
◎──今回はここまで。
今、Amazonプライムビデオで中国の大河ドラマ『孔子』(現題:孔子春秋)を観ているのですが、もちろん弟子もたくさん登場して、そこは面白いです。
ストーリー全体は、ちょっと微妙なところもたくさんあるのですが、『論語』をある程度読んだことがある人には、そこそこ楽しめる内容だと思います。弟子の描写は性格が上手く反映されていて見どころです。
登場人物が多すぎて区別がつきにくいですが、テロップで名前を頻繁に出してくれるので何とか大丈夫です。45分の全38話なので、ちょっと長いですけどね。
外出しにくいし、家でゆっくりドラマでも観ようかって人は是非。
【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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