腕時計百科事典[96]腕時計の真贋を見定める:準備編
── 吉田貴之 ──

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残念ながら、腕時計には偽物が存在します。いわゆるコピー品と呼ばれるもので、コピー品の存在は腕時計購入の際に、心配する事柄のひとつとなっています。最新のモデルであれば、正規販売店で購入している限り間違いはない(はず)ですが、少し古いモデルや廃番品、ヴィンテージやアンティークモデルは正規店では購入できないため、注意が必要です。





●偽物は掴みたくない

それらが欲しい場合は、市中の時計販売店や質屋さん、インターネットオークションやフリマアプリで購入することになります。「どこで購入すれば安心なのか」については、腕時計百科事典でも何度か記事にしたことがありますので、そちらを御覧ください。

とはいえ、どこで購入するにしても、真贋の責任は自分で負うことになります。そこで、自分で真贋を見定めることをゴールとし、偽物を誤って購入してしまう可能性を下げるために知っておくと良いことを紹介します。

●偽物とは

まずは、腕時計の偽物とは何を指すのかを定義しておきましょう。友達に偽物だと言われた、とか、メーカーに持ち込んだら修理してもらえなかった、など、世の中にはいろいろな真贋の基準がありますが、万人が納得できる定義の策定は難しそうです。とはいえ、ここが曖昧なままだと真贋を論じることもできないので、腕時計百科事典としての偽物の定義をしてみます。

●偽物の定義

前述したように、偽物が存在する可能性が高いのは、新品で購入できない古いモデルである場合が多いのです。また、そもそもの製造数や流通数が少なかったり、人気が高かったりして、いわゆるプレミアがついたモデルでも、偽物が作られる可能性が高いといえます。

これらを踏まえると、ブランド腕時計における偽物とは、「意図的に既存の商品を模倣してつくり、既存の商品と誤解させて購入させることを目論んで製造/販売しているもの」くらいにまとめると良さそうです。

●偽物のレベル

次回以降、腕時計の偽物をその見分けやすさに基づいて3つにわけ、それぞれ気をつけるポイントを紹介します。初級編は「すぐに分かる偽物」、中級編として「出来の悪い偽物」、そして上級編として「出来の良い偽物」をどう見定めるかをまとめるつもりです。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。